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ローマ字

[カテゴリ:文字]

ローマ字」という言葉は、下記の2つの意味で使われます。

本来の意味はひとつめのものですが、ふたつめの用法も盛んに用いられます。

以下では、上記2番目の意味を扱います。

訓令式とヘボン式

日本語をローマ字で綴る方式には主に訓令式とヘボン式のふたとおりがあります。訓令式は昭和29年に内閣告示されている方式で、国際標準ISO 3602 (Romanization of Japanese)にも採用されています。ヘボン式は、19世紀に日本に来たアメリカ人医師のJames Curtis Hepburnが和英辞典「和英語林集成」で用いたものが由来で、いくつか細かなバリエーションがあります。

両者にあまり大きな違いはありませんが、「し」(si/shi)、「ち」(ti/chi)、「ふ」(hu/fu)、「じょ」(zyo/jo) などの違いがあります。

両者の特徴を大まかにまとめるとこうなります。

  • 訓令式の方が日本語の構造から見て規則的で冗長性が低い
  • ヘボン式の方が子音の点から見て英語話者にとって発音を推測しやすい

長音符号

訓令式にせよヘボン式にせよ、母音の長音を表すには母音字の上にダイアクリティカルマークを付けます。日本語では、英語等と異なり、母音の長短が言葉を区別する重要な手がかりとなります。従って長母音を明示することは重要です。

訓令式ローマ字の内閣告示では母音字の上に山記号 (「^」、サーカムフレックス) を付けることで長音を示します。ただし、大文字の場合は母音字を並べることで長音を示しても良いとされています。ヘボン式では一般的にマクロン (「 ̄」)を用います。

長音符号とJIS X 0208

JIS X 0208には、日本語の母音aiueoに長音符号(山記号またはマクロン)を付けた文字が入っていません。記号自体はあるので、バックスペースのような制御コードを用いた重ね打ちで実現できると考えられていた可能性があります。この発想はASCIIのANSI規格でも同じで、単体の(前進を伴う)「'」や「`」等の記号を重ね打ちすることでダイアクリティカルマーク付きのアルファベットを表すことについて言及されています。

しかし実際にはそうした重ね打ちは行われず、小学校の国語の授業で習う日本語ローマ字綴りはJIS X 0208の環境では上手く扱えませんでした。

長音符号とJIS X 0213

JIS X 0213では、母音字aiueoの大文字小文字に対して、山記号とマクロンそれぞれのついた文字が、漢字集合1面に全て入りました。これによって、不自由なく日本語のローマ字表記が綴れるようになりました。

参考

関連項目

最終更新時間:2017年04月01日 12時10分27秒