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常用漢字

[カテゴリ:文字][カテゴリ:文字政策]

常用漢字とは、内閣告示として発表されている「常用漢字表」に含まれる漢字です。常用漢字表は、「一般の社会生活において現代の国語を書き表すための漢字使用の目安」(平成22年内閣告示第2号より)とされているものです。法令や公用文の漢字使用はこの表によります。

概要

常用漢字表には、2,136文字について、字体と音訓や語例が示されています。2010年に改正される前は1,945文字でした。

字体はいわゆる新字体ですが、旧字体(康熙字典体)と差の大きなものには参考として旧字体が添えられています。

単に漢字の表だけでなく、「字体についての解説」という説明があり、明朝体のデザイン差や、明朝体と筆写の楷書との違いを実例に即して掲げ、どちらで書いても差し支えない形の差が解説されています。漢字の字体に興味のある人、また学校などで漢字を教える人にとっては有益な情報です。

中学校・高校の学習指導要領では漢字学習に関して常用漢字表が参照されています。また、外国人向けの日本語教育でも学ぶべき漢字として常用漢字表が目安になります。

JIS X 0213との関係

JIS X 0213は、2010年改正の常用漢字を全て含んでいます。

JIS X 0213の2012年改正で、JIS X 0213の面区点位置と常用漢字の対応が、附属書12として追加されました。

第3水準漢字を4文字含んでいます。面区点番号でいうと、1-15-56、1-15-94、1-47-52、1-93-90です。

JIS X 0208との関係

JIS X 0208も2012年に同様の改正がされて附属書12として常用漢字との対応を載せていますが、字体の問題で、JIS X 0213の方が常用漢字表に忠実な対応となります。

例えば、「ほお」(頬)という字について、JIS X 0213の方は1面93区90点を対応させており、これは常用漢字表に掲載の字体ですが、JIS X 0208の方は43区43点(頬)を対応させており異なっています。ただし、43区43点を用いるのが間違いということではありません。常用漢字表は、情報機器の都合で「頬」の方を使うのは差し支えないと断り書きをしています。

常用漢字に対する誤解

漢字にあまり詳しくない人の中には、常用漢字表が漢字を制限するものであるとの理解が時折見受けられますが、これは誤解です。昭和21年の「当用漢字表」は、「法令・公用文書・新聞・雑誌および一般社会で,使用する漢字の範囲を示したもの」(当用漢字表「まえがき」より)という制限のためのものでしたが、これが廃止されて新たにできた「常用漢字表」(昭和56年)は、漢字使用の目安とされているもので、これ以外を認めないというものではありません。

また、当用漢字表や常用漢字表のような漢字表を戦後に現れたものと理解している向きもありますが(例えばWikipedia日本語版の人名用漢字の項の背景説明、2016年11月12日閲覧)、これも誤解です。明治の近代化以降、学習や運用のしやすさの向上を目的として大正8年の「漢字整理案」、大正12年の「常用漢字表」、大正15年の「字体整理案」など、当用漢字表以前にも様々な試みがありました。

参照情報

関連項目

最終更新時間:2016年11月20日 09時22分55秒