JIS X 0212
[カテゴリ:仕様]
JIS X 0212は、JIS X 0208と同時に運用するための漢字コード規格です。JIS X 0208に含まれない漢字、アクセントつきラテン文字・ギリシャ文字、記号類等の集合を定め、それぞれの文字に符号化表現を与えています。
構造
ISO/IEC 2022に整合的な2バイト符号化文字集合です。従って、ISO/IEC 2022の枠組みに則って、JIS X 0208と組み合わせあるいは切り替えて用いることができます。例えば、EUC-JPではシングルシフトコードによってGRの文字集合をJIS X 0208と切り替えたり、ISO-2022-JP-2ではエスケープシーケンスによって指示して使うことができます。
符号化
ISO/IEC 2022の枠組みのもとで使うことのみを意図しており、Shift_JISの符号化で用いることはできません。これはJIS X 0212が普及しなかった大きな理由と考えられます。このことから、Shift_JIS方式の符号化も可能なJIS X 0213が開発されることとなりました。
なお、UnicodeでJIS X 0212に対応したと主張する製品もありますが、それはUnicodeにJIS X 0212の文字が全て含まれているというだけのことで、JIS X 0212という文字コード規格に対応しているわけではありません。
制定・改正履歴
1990年に制定されて以来、一度も改正されていません。JISの文字コード規格は1990年代半ば以降、ISOの国際規格と整合するように標題や規定内容が修正されていますが、この規格についてはそうした措置もとられていません。
JIS X 0208との関係
JIS X 0212はJIS X 0208にない文字を集めたものですが、一部に不整合な点があります。JIS X 0208の非漢字の領域にある「〆」を漢字として収録していたり、83JISの字体変更によって消えた字体を復活させたもののうち一部が漏れていたりします。また、JIS X 0208が本来意図していた、現代日本で使われている文字を符号化するという目的からすると、アイヌ語表記に用いられる片仮名や地名に用いられる漢字など、明らかな欠落が認められます。
このJIS X 0208との不整合は、のちにJIS X 0213が開発される理由のひとつとなりました。
JIS X 0213との関係
JIS X 0213はJIS X 0212と同時に運用することは想定されていません。JIS X 0213はJIS X 0212とは全く別に (X0212の失敗を認めて)、改めてJIS X 0208を補完する目的で開発された規格です。このため両者には重複する文字が多くあります。
JIS X 0213の漢字集合2面は、JIS X 0212において文字の割り当てられていない区点位置に文字を配置しています。これによって、EUC形式の符号化において、JIS X 0213かJIS X 0212かを見分けられるようになっています。
最終更新時間:2016年09月22日 11時01分01秒